業務フローを期限内にそろえる|複数部署・拠点の進め方

「来月末までに全部署の業務フローを出してほしい」と言われた。部署ごとに書式も粒度も違う資料が集まり、並べても比べられない。拠点によって手順が違うと分かったが、どちらを描けばよいか決められない。ここでは、そうした状態で期限内に「比べて確認できる初稿」をそろえるための進め方を説明します。
郡山市は、2015年度に全職員を対象とした業務量調査を行い、その結果をもとに2017年3月に業務削減の手法をまとめた共通ルール「郡山市STANDARD」を作りました。その後も改訂を続け、全庁共通業務(庶務事務など)の割合は当初の14.0%から10.0%未満に下がったと公表しています。複数の部署の業務を同じ物差しで見るには、先に共通のルールを決めることが要ります。
この記事で分かるのは、フローがそろわない原因、期限から逆算した対象と確認項目の決め方、代表業務で粒度・用語・書式を合わせる方法、旗振り役と部門タスクフォースの分担、拠点差と未確認事項の残し方です。
複数部署の業務フローがそろわない4つの原因
部署ごとに作った業務フローが比べられないのは、担当者の力量の問題ではなく、最初に決めておくべきことが決まっていないためです。原因はおおむね次の4つに分かれます。
- 書式と粒度の指示がない。ある部署は1枚に全体を描き、別の部署は作業ごとに10枚描きます。同じ業務でも箱の数が5倍違うと、比べられません。
- 用語が部署で違う。同じ書類を「申請書」「依頼票」「連絡票」と呼び分けている状態です。受け渡しの図で、同じものが別のものに見えます。
- 規程と実態のどちらを描くかが決まっていない。ある部署は規程どおりの手順を描き、別の部署は実際の手順を描きます。両者を並べると、実態の部署だけが手順を守っていないように見えます。
- 確認する人が決まっていない。作った図を誰が見て「合っている」と言うのかが決まっていないと、初稿のまま止まります。
4つとも、描き始める前に決めれば防げます。期限が短いほど、この「決める」工程を省きたくなりますが、省くと集まった資料を作り直すことになります。
期限から逆算して、対象業務と確認項目を決める
期限が決まっている場合、最初に確保するのは「確認と修正の期間」です。作図に全期間を使うと、確認されないまま提出することになります。全体を「ルールを決める」「各部署が初稿を作る」「部署間の受け渡しを確認する」「共有して差分を残す」の4段階に分け、後ろの2段階に全体の4割を当てます。
対象業務は、部署あたり1〜3業務に絞ります。全業務を一度に対象にすると、初稿の段階で期限が尽きます。選ぶ基準は、部署をまたぐ受け渡しがある業務、件数が多い業務、拠点によって手順が違うと分かっている業務です。
確認項目は、作図を依頼する時点で配ります。「開始と終了の事象が書かれているか」「担当者ごとにレーンが分かれているか」「判断の分かれ目に条件が書かれているか」「規程と違う箇所に印が付いているか」の4点があれば、確認する側が同じ基準で見られます。
代表業務1つで、粒度・用語・書式を合わせる
ルールを文章で配っても、部署ごとの解釈は残ります。確実なのは、代表となる業務を1つ先に描き、それを見本として配ることです。見本があれば、各部署は箱の大きさと書き方をまねるだけで済みます。描き方の基本は業務フロー図の作り方で扱っています。
- 粒度は、「担当者が代わる」「使うシステムが代わる」「判断が入る」のどれかで箱を区切ります。1業務あたり15〜25箱に収まる粗さを見本で示します。
- 用語は、書類名とシステム名の対応表を1枚作り、見本と一緒に配ります。部署ごとの呼び名は対応表に残し、図には共通の名前を書きます。
- 書式は、担当者ごとのレーンを横に分けたスイムレーン図に固定します。ツールは問いませんが、出力は同じ形式(PDF や画像)にそろえます。
- 描く対象は、第1版では実態です。規程と違う箇所は図に印を付け、別欄に「規程では○○」と書きます。

旗振り役と部門タスクフォースで、作成と確認を分けて進める
複数部署の作業は、推進担当1人では回りません。経営層に近い旗振り役を1人置き、対象部門ごとに2〜3人のタスクフォースを作ります。タスクフォースには、実務を知る担当者と、判断の権限を持つ管理職の両方を入れます。
作る人と確認する人は分けます。自分で描いた図は、自分では抜けに気づけません。部門タスクフォースの中で、描く担当と確認する担当を決め、部署をまたぐ受け渡しは、受け渡しの相手側の部署が確認します。週に1回、30分の確認会を決めておくと、確認待ちで止まる時間が減ります。
2023年版の小規模企業白書は、デジタル化の取組段階が進んでいる企業ほど、ビジョン・目標の設定や業務の棚卸しを実施している割合が高いと述べています。業務フローをそろえる作業も、目的(何のために、いつまでに、どの範囲を)を最初に全員へ伝えると、各部署の協力を得やすくなります。

拠点差・未確認事項・確認待ちを残して共有する
拠点によって手順が違う場合、第1版ではどちらかに統一しません。両方を描くか、本流を描いたうえで「拠点差」の欄に違いを書きます。統一するかどうかは、初稿がそろった後に、差の理由を確かめてから決めます。期限内に統一まで終えようとすると、実態と違う図になります。
確認が取れなかった箇所は、推測で埋めずに「未確認」と書きます。未確認事項は一覧にし、項目・確認相手・確認期限を付けて、図と一緒に共有します。第1版の表紙には「確認済みの範囲」と「未確認の範囲」を明記します。
各部署の担当者に作図の時間を取ってもらえない場合は、AI に初稿を作らせる方法があります。ProcessAI は、担当者が AI と会話した内容(一般的な業務では20〜30分が目安)から業務フロー図の初稿を生成します。各部署の担当者が同じ方法で会話するため、初稿の書式がそろい、タスクフォースは確認と修正に時間を使えます。

複数部署の初稿を同じ書式で短期間にそろえたい場合は、ProcessAI をご検討ください。各部署の担当者が AI と会話するだけで初稿ができ、タスクフォースは確認と修正に集中できます。
よくある質問
- 期限が2週間しかない場合、どこまでできますか。
- 部署あたり1業務に絞れば、ルール決め3日、初稿作成5日、確認と修正5日で第1版まで届きます。全業務の棚卸しや拠点の統一は、第1版の後に回します。
- 部署ごとにツールが違っても構いませんか。
- 構いません。書式(スイムレーン・箱の粒度・用語)と出力形式(PDF や画像)をそろえれば、作図ツールは問いません。すでに使っているツールの方が、更新が続きます。
- 拠点で手順が違うとき、どちらを正としますか。
- 第1版では決めません。両方を描くか、本流と拠点差の欄に分けて残します。統一の判断は、差の理由(顧客の違い・設備の違い・担当者の慣れ)を確かめてから行います。
- 確認を頼んでも返事が来ません。
- 確認会の日を先に決め、その場で見てもらう形にします。メールで送って返事を待つ方法は、期限が短いときには向きません。確認項目を4点に絞ると、確認する側の負担が減ります。
出典
ProcessAI
担当者が AI と話すだけで、業務フロー図の初稿ができます
記事で紹介したヒアリングと作図を、AI が音声の会話で行います。一般的な業務では20〜30分の会話が目安です。 業務フロー図の初稿に加えて、自動化できる工程の候補と削減時間の試算が出ます。
- AIどのような部署で、どんなお仕事をされていますか?
- 担当者取引先への見積依頼から発注までを担当しています。
- AI最初は何から始まりますか?
- 担当者仕入先にメールで見積もりを依頼して、届いた見積書の金額と納期を確認します。
- AI確認の後は何をしますか?
- 担当者問題があれば修正を依頼します。問題がなければリーダーに承認を依頼します。
業務フロー図 (初稿)
- 仕入先に見積もりを依頼 (メール)
- 見積書の金額と納期を確認
- ◇ 内容に問題があるか問題あり → 修正を依頼 / 問題なし ↓
- リーダーに承認を依頼
デモ: 見積・発注業務 (架空のデータ)